フルトヴェングラーの指揮の特徴/フルトヴェングラー鑑賞室

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フルトヴェングラーの指揮の特徴

  

そういうフルトヴェングラーの指揮の特徴は、テンポにせよ、リズムにせよ、ダイナミックにせよ、旋律の歌わせ方にせよ、どれをとってみても、それだけで独立した単位としてではなく、みなほかのものと有機的につながり、総合的にはたらくものとして捉えられながら、自由に流れてゆく点にあった。

それが特に目覚ましい成果を残したのは、性格の違った楽節と楽節の間をつなぐ時のやり方である。一つの楽想が終わり、次のそれが始まる間の経過の扱いのなかでのテンポの緩急やダイナミックの増減の仕方などには、驚くべき自由さがあり、しかも全体を見事につなげるという点で、驚くべき独創性がみられた。

それが彼のベートーヴェンを、がっちりした構成の枠をもちながら、硬直した無機的な感じを与えるものが皆無な演奏にし、彼のブラームスを、至るところでルバートが顔を出し、しきりと歌とリズムの間で交代がありながら、全体として安定した構成に支えられた音楽にする原因となった。

ベートーヴェンの「第9」、シューマンの「第4」、ブラームスの「第4」といった交響曲で、彼が不滅の名演を残したのは、対象となった音楽の構造と彼の音楽的特性とが、他のやり方では達成されない素晴らしい調和に達したからだ。

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