歴史的復帰演奏会/フルトヴェングラー鑑賞室

フルトヴェングラー鑑賞室 TOPフルトヴェングラーの歴史的意味 →歴史的復帰演奏会


歴史的復帰演奏会

 

1947年、フルトヴェングラーはようやくベルリン・フィルを指揮できる状況となり、5月25日から29日にかけて、前後四回の演奏会の指揮台に立つことになった。

ベルリンは廃墟のままで、恐ろしいほどの衣住食の窮乏がつづいていた。

再起を願っていたベルリンの市民のなかには、一枚の入場券のために幾日も前から行列に並んだ人や、当時貨幣なみに通用していた貴重な配給のタバコやコーヒー、中には大切にしていた自分の靴を差し出す人もあったという。

ティタニア・パラストの舞台にフルトヴェングラーが現れると、

「ホールをうずめた二千の聴衆はまるで狂気に駆られた様だった。立ち上がり、拍手し、大声で叫ぶ。オーケストラの楽員たちも起立した。(中略)フルトヴェングラーはベートーヴェンの『エグモント』序曲、『田園交響曲』及び、『第5』を指揮した。演奏が終わったとき、喝采は何時はてようともしなかった。もう聴衆はこのホールから出て行かないのか、と思われるほどの場面が長くつづいた。」

Index