人生の昇華/フルトヴェングラー鑑賞室

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人生の昇華

例えば、フルトヴェングラー指揮のベートーヴェンの「第9」交響曲が終わった後の聴衆の騒ぎは、もう熱狂とか興奮とかいう言葉では表現できないものがあったそうだが、そこでは「結合の力」が十全に発揮され、芸術の次元において人生の昇華をも意味していると思う。

それは単なる歓喜ではなく、人生の深い探求と社会への限りない貢献のうえからの「歓喜のなかの大歓喜」でなければならないということなのである。

それを可能にしたのはフルトヴェングラーの「解釈」であり、それはスコアの客観的描出というよりも「創造的生命」のすぐれて象徴的な描出と捉えることができるのである。

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