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連帯責任


1938年の有名なニュルンベルクにおけるナチスの党大会前夜、ワーグナーの「ローエングリン」と「ニュルンベルクのマイスタージンガー」がヒトラー臨席の下で上演されているが、この指揮棒をとったのがどうやらフルトヴェングラーであったようだ。

写真で有名な総統誕生日の記念コンサート、工場慰問の演奏活動など、戦時中のフルトヴェングラーのナチスへの協力の足跡は枚挙にいとまがない。

最も決定的な例として、1943年の「戦時祝祭」と銘打たれたバイロイトにおける「ニュルンベルクのマイスタージンガー」上演があげられる(CDにもなった)。この「マイスタージンガー」上演は、演出ハインツ・ティーチェン(シュターツカペレ・ベルリン総監督)、美術ヴィーンラント・ワーグナー、指揮フルトヴェングラーという陣容で行われた。

そして驚くべきことに、コーラスのメンバーに、ヒトラー・ユーゲントとSSのメンバーが加わっているのである。残された上映写真を見ると、まるで38年の党大会を彷彿とさせるような露骨なナチス・プロパガンタ舞台である。

こうした上映からもフルトヴェングラーのナチスに対する連帯責任が否定しえないものであることは、マンを待つまでもなく明白といわねばなるまい。

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